不動産の相続

【不動産相続】不動産を相続すると決まったらするべきことをチェック

  • 相続申告

不動産を相続することが決まったら、多くの方は「いったいどうすればいいの?」「何から手をつければいいの?」と戸惑うのではないでしょうか。事前に相続することが分かっていたならまだしも、突然の相続だと余計に混乱することでしょう。

そこで、不動産を相続すると決まったらするべきことを、分かりやすく時系列でまとめてみました。相続人同士で確認し合い、スムーズに手続きをしましょう。

不動産相続が決まるまでの手順を知っておこう

不動産を相続する場合、まずは相続人となった人々と話し合うことが必要です。慌てず焦らず、やるべきことをチェックしていきましょう。

遺言書が無いか確認し、家庭裁判所で検認してもらう

不動産に限らず、誰か親族が亡くなって相続が発生しそうなときは、まず遺言書がないかを確認します。
 
もし、故人がいつも相談していた弁護士さんがいるのであれば、連絡をしてみましょう。遺言書について何か知っているかもしれません。
また故人が大切な文書などを保管していた場所や仏壇の引き出し、契約書類の保管場所などをすべて確認し、遺言書がないか徹底的に探します。
 
【公証役場で作られた遺言書の写し】が出てきたら、遺言書の本文自体は地元を管轄している公証役場で保管されています。問い合わせてみましょう。
自宅から遺言書が出てきた場合は、秘密証書遺言書か自筆証書遺言の可能性が非常に高く、勝手に開封すると効力を失うことがあります。
遺言書が出てきたら、絶対に開封せず、地元を管轄する家庭裁判所で検認してもらいます。これには約1ヶ月ほどかかります。

遺言書の内容をきちんと読み、相続人と相続内容を確認する

遺言書の検認や公正証書からの返還が行われたら、内容に従って相続人と相続内容を確認していきます。
相続人に指名された人々と、それぞれの相続内容に何も問題がなければ、そのまま相続を行います。
 
もし全員が内容に不満を持ち、相続内容を変更したり、相続人を法定相続人に変更したいということになったら、全員の署名・捺印をもって遺言書に従わないことを決めます。

遺言書が無かったら、民法に沿って相続人を確認する

遺言書が無かった場合や、遺言書で指定された相続人全員が内容に反対した場合は、民法に沿って相続人を確認します。

相続人は一般的に【配偶者】+【親族の第1順位(その直系子孫)】から決まっていきます。もし第1順位の親族が誰もいなければ第2順位、それでも誰もいなければ第3順位となります。
遺言書が遺されていなかった場合は、自分が相続人にあたるかどうかを確認しましょう。直系の子ども、直系の親、兄弟姉妹の順に相続人になる可能性があります。

不動産の財産は法務局の登記簿謄本や名寄帳で確認する

相続人が誰になるのかがはっきりしたら、次にどんな財産が遺されているのかを確認します。預貯金は記帳をし、故人が亡くなった日の残高を明確にしておきます。

不動産については、登記関係の書類や固定資産税の納付書、契約書などをすべて探してみましょう。
故人が突然亡くなってしまった場合や、ひとりですべての財産を管理していた場合など、故人名義の不動産がどれほど残っているのか全く分からない、という事態も考えられます。
 
例えば、自分達が住んでいる家は持ち家だと思っていたのに、土地も家も違う人の名義だった、なんてこともあり得るかもしれないのです。
どうしても不動産の財産が把握できないという場合は、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すると、誰でも簡単に登記情報を知ることができます。
 
しかし登記は義務ではないため、未登記の不動産がある場合もあります。そんな時は名寄帳も確認してみましょう。

分かりづらい不動産の財産の全貌が見えてきたら、いよいよ不動産相続についての話し合いをスタートしましょう。

不動産の価値を把握しよう

不動産がどれだけあるかが分かっても、その価値を判断することは非常に大変です。一応、計算の指標となる【路線価図】は国税庁のホームページに掲載されています。
【出典】国税庁:路線価図
 
しかし路線価図をもとに自分で計算することは非常に大変ですので、不動産の価値を正確に把握したい場合は相続に強い税理士に相談してみましょう。
 

【遺産分割協議】不動産をどのように分けるかを話し合う

不動産の価値が分かったら、【遺産分割協議】を行います。遺産分割協議とは、相続人で遺産をどう分割するか、話し合うことです。
不動産は主に土地・建物を指します。土地だけを見ても、さまざまな形態があります。
 
・宅地
・農地
・山林など
 
また宅地も、複雑でいびつな形をしていたり、土地の中に極端な凹凸や高低差があったり、旗竿地だったりすれば、価値が下がります。

更地の場合と建物が建っている場合でも違いますし、建物に人が住んでいるかどうか、住んでいる人が家賃を支払っているかどうかによっても異なります。
 
不動産は①今家が建っている土地屋敷だけ、という場合も、➁現状誰かが住んでいるか、③故人が亡くなったことで空き家になってしまったか、によって扱いが違ってきます。
 
不動産を分けることは、一筋縄ではいかない話し合いとなることが非常に多いのです。

不動産の相続方法の違いについて

不動産を分けるには、さまざまな方法があります。ここで不動産の相続方法について、詳しくご紹介します。

現物分割

一般的に、遺産分割は「現物分割」と呼ばれる分割方法が原則となっています。分かりやすく言えば、4000万円の現金で遺された財産を、4人の相続人が1000万円ずつ相続する、という方法です。
しかし、不動産はそう簡単に現物を分割することができません。
 

簡単に現物分割できた場合の具体例
・不動産の遺産…両親が住んでいる土地&家・同じくらいの価値の更地2か所
・亡くなった人…父親
・相続人…配偶者(母親)+法定相続人(子ども2人)
・母親は今住んでいる土地屋敷を相続。子ども2人はそれぞれ更地1か所ずつ相続。

 
この場合はきれいに分かれましたが、だいたいこのようにはいきません。
そういった場合は、話し合いをして、他の現金や有価証券なども含め、全員がしつつ丸く収まるように話し合って折り合いをつけることが一般的です。
 
しかしどうしても話し合いがこじれてしまう場合もあります。特に遺された財産のほとんどが不動産だった場合などは、折り合いがつきにくいことが多いでしょう。
そういった場合は、次にご紹介する「代償分割」や、その次の「換価分割」といった方法がとられます。

代償分割

「代償分割」は、相続人のうち1人、もしくは数人に、法定相続分より多い不動産遺産の一部、もしくはすべてを現物で相続してもらうことです。
不動産遺産を相続しなかった相続人に関しては、不動産を相続した相続人が、法定相続分の不足分を現金などで負担します。
 

具体例
・不動産の遺産…高齢の母が一人暮らししていた土地屋敷
・亡くなった人…母親
・相続人…法定相続人(子ども3人)
・長男が母の暮らしていた土地屋敷に移り住み、不動産のすべてを相続。

 
次男・三男は不動産以外の現金や有価証券などの財産を相続。
それだけでは長男が継いだ不動産の価値に見合わないため、長男が現金で補填
 
この場合、長男が母の暮らしていた土地や家を引き継ぎ、不動産以外の現金や有価証券などは弟達が相続しています。
計算してみたところ、土地と家の評価額の方が、弟達が相続した現金や有価証券よりも高かったため、長男は不足分を現金で弟達に支払った、というケースです。
 
一見うまくいくように見えますし、これで実際に誰からも文句が出ず、円満に相続が行われる場合もあります。
 
しかし、この例だと長男にかなりの負担がかかることになります。これまで同居していなかったため、まずは家族で実家に引っ越さなければなりません。
高齢の母が住んでいた実家ということで、築年数が相当経っている場合もあります。小さな子どもと暮らすとなると、リフォームなども必要でしょう。
 
また土地の値段や家の評価額によっては、長男にかなりの額の相続税が発生する可能性もあります。東京23区内であれば、ほぼ確実に発生すると言われています。
 
さらに長男は、現金や有価証券など、すぐに使える「お金」を相続していません。そのため、手持ちの預貯金がなければ、弟達に不足分を支払うことも難しくなります。
 
やはり代償分割の場合も話し合いが非常に大切です。それぞれ目先の「相続分の利益」だけを考えるのではなく、互いが相続したものが生み出す「リスク」についても考えましょう。
その上で、不動産を相続することの負担やリスクに配慮し、現物分割と併用したり、相続分の案配を互いに譲り合ったりして、みんなが妥協し納得できる分割方法を探って行く必要があるのです。

換価分割

「換価分割」は、「モノ」で遺された財産を現金に換えて、相続人で分け合う方法です。不動産はもちろんですが、美術品や高級自動車、高価な宝石など、分割することができない「モノ」の財産は意外と多いものです。
 
中でも不動産は、分けにくいうえに大きな財産として残り、さらに相続税の問題も関わってきます。
相続人の中には「不動産なんかいらない」「もう家を建てたから、不動産をもらっても困る」という人もたくさんいます。
特に都会で仕事を持つ相続人に、地方の広大な土地が遺された場合などは、困る人が多いことでしょう。
そんな時にとられるのが、換価分割という方法です。土地や建物を売却して現金に換え、相続人で分け合います。
 
不動産管理は難しい場合や、不動産が欲しいという相続人がひとりもいない場合、他の相続方法で話がこじれた時などにも活用されます。

できれば避けよう!【共有】

不動産には、実はもうひとつ【共有】という相続方法があります。「先祖伝来の土地屋敷で、自分達も育った思い出深い家だから」と、相続人がひとりに決まらず、代償分割も換価分割もできなかった場合に、とられる方法です。
共有は、「今回は分割して相続できないので、いったん全員で土地屋敷を共有で相続しよう」という方法です。
 
しかしこの方法だと責任をもって土地屋敷を管理する人が決まらず、結局空き家になった実家が朽ちて廃屋になってしまうといったことが起きる可能性があります。
何より、今でもこじれている相続問題を、次の世代に先送りすることになります。兄弟間でさえこじれたのに、いとこ同士になる次の世代にとっては、相続人の人数も増え、さらに問題となる可能性があります。
 
そのためできるだけ共有を選択することは避け、今の世代できちんと相続問題を解決するように心がけたいですね。

地主の相続手続きについて

借地として土地を他人に貸している場合、土地所有者のことを地主と呼んでいます。地主さんが亡くなった場合、ほとんどの遺産が不動産ということもあり、相続に関する問題に頭を悩ませる相続人は少なくありません。
 

地主の相続手続きでするべきこと

地主さんに相続が発生した場合、するべきことを時系列で追っていきましょう。
 

 
【相続が決まるまでの相続人代表者を決める】
不動産(土地)を借りて住んでいる人を、借地人と呼びます。またその人が借りている土地のことを、底地と呼んでいます。
借地人さんの中には、新聞のお悔やみ欄などで地主が亡くなったことを最初から知っていて、葬儀などに出てくれる人もいるでしょう。
そういった場合に備えるために、まずは相続がきちんと決定するまでに、渉外的な交渉を行う代表者を、相続人全員で決めます。
 
代表者は、相続が決定するまでの間、供託を勧めます。さらに相続が決定した際には、改めて連絡を入れて、お知らせなどの手続きを行う旨を伝えましょう。

相続手続きを行う

地主が相続を行う場合、一般的に相続人に引き継がれます。不動産を法人化して管理していれば、法人として相続できるのですが、そうでなければ個人として相続しなければなりません。
 
遺言書がなければ、複数の相続人で遺産分割協議を行い、一度共有財産としてそのまま残し、最終的には誰かが地主として引き継ぐか、土地が点在していればそれぞれを引き継ぐかを決めます。

借地人に連絡する

相続手続きが完了したら、不動産(底地)を借りる契約を結んでいる人(借地人)に連絡を入れます。
 
これまでの地主が亡くなったこと、新たに自分が地主として底地を引き継いだことを知らせます。
土地賃貸人通知書を作成して、新たに決まった地主の名義を記して、借地人に送付します。

土地賃貸借契約書の名義書き換えを行う

土地賃貸借契約書の書き換えは、法的に定められた義務ではありません。底地を相続しても、借地人と相続人が新たに契約を結ぶわけではなく、契約も継続されます。
 
しかし、地主が変わった以上、土地賃貸借契約書の名義の書き換えを行っておいた方が、のちのち不便が生じにくくなります。
たとえば借地人との契約が終わって土地が遺され、相続税などの納税を土地で物納するという場合など、名義が変更されていることが必要だからです。

不動産を相続する方法をしっかり理解し、話し合って分割方法を決めよう

不動産は売却すれば大きな利益を得ますが、そのまま相続すれば大きな相続税を支払うリスクもある難しい財産です。

 

生前に売却することで、財産の総額が上がってしまうケースもありますし、売却することで評価減の適用の可能性が無くなります。
そのため、不動産相続では親族間の話し合いがこじれ、結局関係が悪化してしまったということも珍しくありません。
できるだけスムーズに解決できるよう、そして次の世代に課題を残すことのないよう、相続人みんなで不動産相続について理解し、互いに思いやりを持って話し合いを進めましょう。
 
またこじれる前に、不動産の価値の計算やそれぞれの価値観に合った分割方法をアドバイスしてもらうためにも、相続に強い税理士に一度相談してみることをおすすめします。