不動産の相続

【不動産相続】相続後の不動産を売却するために知っておきたいこと

  • 相続申告

不動産を相続した場合、そのまま自分が入居して住み続ける方法や、誰かに貸して賃貸物件として運用する方法などがあります。
しかし、手っ取り早くお金に替えられ、しかもその後のリスクが少ない方法として、売却する人も少なくありません。相続した不動産の売却方法や、少しでもリスクや税金を減らす方法についてご紹介します。

相続した不動産を売却する方法

相続した不動産を売却するには、どうすれば良いのでしょうか。相続した不動産を売却する方法をご紹介します。

不動産の相続登記を行う

不動産を相続した後、相続登記は行いましたか?相続登記とは、法務局で公開されている登記簿という記録に、「不動産を相続したので不動産の持ち主の名義が変わった」ことを記入する必要があります。

実は相続登記は義務ではないので、相続したまま登記をせずにいる方もたくさんいます。昔から登記が更新されていない古い土地もあります。
しかし、相続登記が必要になるケースもあります。そのひとつが、その不動産を売却するときです。
 
相続登記とは、その土地に関する持ち主の名義や各種権利などを公に主張することです。登記をしていなければ「私の土地だから私が売ります」と主張することができないのです。
 
不動産の登記がきちんと行われているかどうかや、不動産登記の手続きは、相続する土地のある法務局で行うことが可能です。
相続登記には遺産分割協議書の作成をはじめ、亡くなった人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、相続人の印鑑証明書など、さまざまな書類が必要になります。
 
また登録免許税と呼ばれる、不動産の価値の0.4%に当たる金額を、収入印紙で支払う必要もあります。
この手続きは少々手間がかかり、時間も要します。そのため、不動産を売却したいと考えたら、できるだけ早めに動きはじめましょう。司法書士に一任することも可能です。
 

不動産売却のための書類を揃える

相続登記を行ったら、いよいよ不動産売却の手続きに入ります。不動産を売却するためには、やはりさまざまな書類が必要になります。

リストをチェックしながら、忘れているものがないか確認しましょう。
 

□登記済み権利証(2006年以前に購入した不動産の場合)
□登記識別情報(2006年以降に購入した不動産の場合)
□土地測量図・境界確認書
□固定資産税納税通知書
□固定資産税評価証明書
□物件図面
□設備の仕様書
□建築確認済証
□建築検査済証
□建築設計図書
□工事記録書
□耐震診断報告書
□アスベスト仕様調査報告書
□実印・印鑑証明書
□住民票謄本
□本人確認書類(免許証・パスポートなど)
□売却契約書
□重要事項説明書

不動産会社に売却を依頼する

上記の書類を整えたら、不動産会社に売却を依頼します。最近ではさまざまな不動産会社へ同時に見積もりが出せるサービスサイトなどもありますし、口コミサイトも充実しています。

より誠実な対応で、より高く買ってくれる不動産会社は一度で見つかるとは限りません。できる限り情報を集めて、信頼できる不動産会社を選びましょう。

共有名義の土地だった場合

共有名義の土地だった場合は、かなり煩雑な手続きになってしまいます。そのため、不動産は共有することをおすすめしないのです。

共有名義の土地全体を売却する際は、共有相続人全員の同意を得なければなりません。また、代金も共有持分に従って分配する義務があります。

もし一人でも売却に同意してくれない相続人がいれば、同意してくれるまで売却はできません。

不動産売買契約を結び、印紙税を支払う

不動産が売れることになったら、買ってくれることになった人との間で不動産売買契約という契約を結ぶ事になります。

そのときに作成する契約書には収入印紙を貼り、それによって印紙税を支払うことになっています。

売却する価格が数千万と高額になると、印紙税が数万円になる可能性もあります。1億円を越えると10万円以上になります。印紙税分の出費も念頭に入れておきたいですね。

消費税がかかることがある

不動産を売却する場合、不動産会社を通すことが多いですね。その場合、建物を売却した価格には消費税がかかります。

個人と個人で話し合いがつき、売却の契約となった場合は、間に不動産会社が入らないため消費税はかかりません。

土地を売却する際、基本的に消費税はかかりません。しかし不動産会社を通すことで仲介手数料がかかった場合は、仲介手数料に消費税がかかります。

相続した不動産が売却できたら譲渡所得税を支払う

相続した不動産に買い手がつき、無事に売却できると、売却益が出ます。実際に不動産を売却するとなると、かなりの高額になることが多いですね。

高額の売却益、と聞くと、気になるのが所得税ですね。残念ですが、相続した不動産を売却したときも、譲渡所得税という税金がかかります。

ただし、買った時の価格よりも、売却時の価格の方が高かった場合、つまり利益が出た場合のみかかります。
 
相続した不動産だと、売買契約書が古くなっている可能性は高いと思いますが、残っているかを確認しておきましょう。
万一購入価格が分からない場合は、取得費は売却収入の5%相当となります。売却収入の95%部分に住民税込で20%の税金が課されることになります。

譲渡所得税を節税するには3年以内の売却がポイント

せっかく相続した不動産を売却するなら、少しでも利益は高く、税金は低く抑えたいものですよね。そこで譲渡所得税を節税するための方法をご紹介します。

相続から3年10か月以内に売る

相続から3年10か月以内に売却すると、相続税の取得費加算の特例を受けることができます。

相続した財産を、3年10か月以内に売却すると、相続税額の中から一定の額を譲渡所得計算時の取得費に加算できるという特例です。

相続から3年目の12月31日までに売る

相続から3年目の12月31日までに売却すると、空き家に関わる譲渡所得の特別控除の特例を受けることができます。

親から相続された家が空き家になっていた場合、相続した年から3年以内に売却すると、譲渡所得から3000万円が控除されるという特例です。

 

当初は老人ホームなどの入所者は適用が受けられないなどのデメリットがありました。しかし平成31年4月1日以降、より利用者に寄り添う形に改善されました。

相続した不動産を売却するメリット

相続した不動産を売却することには、さまざまなメリットがあります。不動産を売却するメリットをピックアップしてみました。

維持の手間や税金が必要なくなる

住んでいない家を維持するためには、定期的に掃除などをしなければなりません。きちんと風を通し、トイレなど水回りは害虫が入らないようにお手入れをする必要があります。

また不動産を所有し続けていると、その間固定資産税を支払い続けなければなりません。家は古くなるほど固定資産税が安くなりますし、家が建っていれば土地の固定資産税も安くなりますが、それでも何年にもわたればかなりの額になります。

不動産を売却してしまえば、維持の手間も必要なくなりますし、税金を払う必要もなくなります。これまでの負担が軽減されますね。

売却することで現金が手に入る

売却することで、手間をかけたり税金を払ったりする必要がなくなるだけでなく、それなりにまとまったお金が手に入ります。

現金が入れば、相続によって相続税が発生した場合もその資金に充てることができますし、NISAやiDeCo、株式などで運用することもできますね。

現金化することで、遺産分割が容易になる

現金化することで、遺産相続に関するストレスも軽減されます。遺産分割はとても難しく、特に遺された資産のほとんどが不動産という場合は、相続税もかさみます。
不動産はどこも同じ価値、というわけにはいかないので、相続人がたくさんいる場合、どうしてももめる原因になります。
 
どうしてもみんなが納得できるように分けることができず、結局問題を先延ばしにした挙句、次の世代でもっともめる、ということもあります。
不動産だから分配が難しいのであって、現金になってしまえば分けやすくなりますよね。少なくとも、何度も現地に赴いたり、価値の違いで頭を痛めることはなくなります。

相続した不動産は放置しない方がいい!放置のデメリット

相続した不動産の活用を考えていますか?「いまいち良い活用方法が思いつかない」「遠方の実家を相続してしまったのであまり行けない」「手続きが面倒でなんとなく放置している」という方、相続した不動産は放置しない方が良いのです。
 

1.空き家にした建物が増加する

最近、空き家が増えていて社会的な問題になっていることが、ニュースなどでよく取り上げられていますよね。
実際に、空き家は増加傾向にあります。なぜかというと、更地のままの土地よりも、住宅が建っている土地の方が、固定資産税が安くなるという「住宅用地に対する課税標準の特例」を受けることができるからです。
 
この特例があるために、これまで親から土地を相続した人々の中には「固定資産税も安くなるし、家を処分するにもお金がかかるから、とりあえずこのままにしておこう」と、実家などを放置しておく人が少なくありませんでした。
その結果、全国各地に空き家が増え、時間が経つにつれて空き家が廃墟化して問題となっているのです。
なぜ空き家が廃墟化してしまうと問題になってしまうのでしょうか。

2.建物が荒れて倒壊する恐れが出てくる

空き家は、人が住まなくなり、空気の入れ替えなどが行われなくなると、あっという間に荒れてしまうと言われています。

例えば古い家屋だと、1か月もすれば誰も荒らしていないのに、内部が荒れてきてしまうのです。
 
また水道を止めたことによりトイレなどの水が干上がり、下水の臭いがどんどん立ち込めてしまったり、ネズミやゴキブリなどが侵入してきたりします。
さらに外壁や屋根などが老朽化して雨水が入り込むようになると、家の内部もどんどん腐食し、柱も傷みます。
柱や屋根が腐った家屋は、一度台風や大雪などの災害が起きると非常にもろく、倒壊する恐れもあります。
 
近隣の家と近かったり、道路沿いの家だったりすれば、倒壊した家が近隣の家にぶつかって被害を与えたり、道路に倒れて通行の邪魔になったり、大変危険です。

3.ゴミを不法投棄される

明らかに空き家だとわかる家だと、ゴミを不法投棄されるようになることもしばしばあります。街道沿いだと、車からペットボトルやゴミ袋などを投げ込まれやすいでしょう。
門扉や壁で覆われていても、年月とともに家と同様に朽ちていきます。結局門や壁に空いた隙間から、ゴミを投げ込まれてしまうようになります。
そのうち、夜中にわざわざ運んできて粗大ごみなどを捨てていく不届き者が出るようになると、あっという間にゴミ屋敷になってしまいます。
 
普段あまり所有する空き家の様子を見に行くことがない、という人は、数か月、数年ぶりに実家がゴミ屋敷と化していて驚く、ということもあるでしょう。

4.犯罪の温床になる

以前、空き家がたくさんある地域に脱獄囚が逃げ込み、何日間も見つからなかったという事件がありましたね。
空き家はセキュリティもゆるく、近隣の人の関心も少ないため、人が侵入してきても分かりづらいというデメリットがあります。
知らない間に犯罪者が入り込んで放火をした、などということになると大変なことになってしまいます。
 
また犯罪者ではなくても、路上生活者や家出をした若者などが入り込む可能性があります。家は荒れ果てているわけですから、いずれにしても、防犯上危険なことには変わりありません。

5.景観や防犯上の問題で自治体から注意勧告を受ける

あまりにも空き家がひどい状況になると、近隣の住民から自治体に苦情が入るようになります。そういった声が高まると、自治体も無視はできません。

そうなると景観の悪化や防犯上の問題で、自治体から注意勧告を受けることもあります。さらに問題なのが、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」によって、特定空き家に指定されてしまいます。

6.特定空き家に指定され、減税措置が受けられなくなる

特定空き家に指定されてしまうと、空き家対策のために制定された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」によって、減税措置が受けられなくなります。
もともと空き家が増えたのは、更地だと高くなる固定資産税も、住居が建っていると課税標準額が6分の1に軽減されるからです。
 
しかし特定空き家に指定されると、課税標準額の軽減措置が受けられなくなってしまいます。つまり税金が高くなってしまうのです。

7.住んでいない実家をきれいに維持することは非常に大変!

これまでにご紹介したリスクを防ぐために、人が住んでいない実家をきれいに維持すればいい、と考える方もいるかもしれません。

しかし人が住んでいない実家をきれいに維持することは非常に大変です。まず共働き夫婦の家庭の場合、貴重な休日を実家のメインテナンスに費やさなければなりません。

離れた土地だと交通費もかかります。また掃除には電気や水が必要なので、そのためだけに電気や水道を引き続けなければならず、維持費もかかります。

「それならば貸家として貸し出し、家賃収入を得よう」と考える方もいると思いますが、大家として貸家を管理することもそれなりの手間とリスクを伴います。

相続後に不動産を売却する時は3年が勝負!早めの準備で節税を

不動産を相続したのに住む予定がない、という場合は、早めに売却することがおすすめです。更地だと税金が高くなりますし、空き家が建っているとすぐに傷んでしまいます。

また最近は空き家対策特別措置法が施行され、空き家が廃墟に化してしまうと、節税の特別措置も受けられなくなってしまいます。そうなる前に、売却して現金に替えた方がお手軽です。
 
相続後に不動産を売却する場合は、3年が勝負です。4年以上過ぎてしまうと、相続した不動産を売却したときの節税特例を受けられなくなってしまいます。

自分が育った家、親が一生懸命働いて買った家、先祖代々が大切にしてきた家が朽ちていくことは悲しいですよね。

そんな姿を見る前に、住まなくなったら売却を考えるなど(居住用財産譲渡は3000万円の特別控除)節税につながる早めの売却を考えてみませんか。