生前対策

【生前贈与の節税】生前に手を打てる節税方法を徹底チェック

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生前贈与でできる、自分自身の意志と身体がしっかりしているうちに手を打てる生前対策および節税方法を徹底的にチェックしてみましょう。見逃している節税方法があるかもしれません。

生前贈与の7つの基本!

生前贈与を行うにあたり、ぜひ確認しておきたい基本的な控除や特例などの制度が7つあります。知っていないと手続きを始めてから大混乱の末に損をする…ということもある、基本の制度を確認しておきましょう。

基礎控除と暦年贈与

生前贈与という言葉は本来法律用語ではなく、他界後の相続に対する生前の贈与、という意味で用いられている俗称です。
 
そもそも【贈与】は生きている人と人の間で交わされる【契約】です。生前の相続のつもりでも、一般的な贈与とは変わりません。

ただし、「多額の(相続税の課税対象3000万円以上になりうる)相続を小分けにしている」と税務署が判断すると、課税対象となる可能性はあります。
 
それでは、まず贈与に対する基礎的な控除をご紹介します。まず、贈与に対しては、受ける側に対して、年間110万円までが基礎控除額になっています。

 

受け取る側=年間110万円まで贈与税がかからない

 
注意しておきたいのが、【譲渡する側】ではなく【譲渡される側】、受け取る側に対する贈与税という点です。

父親が3人の子どもに110万円ずつ、330万円を贈与しても、譲渡する側なので何ら問題はありません。
しかし1人の子どもに父と母から110万円ずつ、計220万円の贈与があると、これには贈与税がかかってしまいます。
 
また年間110万円までの基礎控除は、毎年更新され、翌年も110万円まで贈与税を課税されずに贈与ができます。
 
この制度を利用して、毎年コツコツ贈与を続けることを、【暦年贈与】と呼んでいます。控除額の110万円を超えると、超えた額に贈与税が課されます。

相続時精算課税制度

【相続時精算課税制度】は、60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子や孫に贈与する際に適用される特殊な制度です。
 

親世代の財産を、次の世代へとできるだけ早く移動させるということが、この制度が制定された目的です。
 

一般的な贈与の基礎控除額は110万円ですが、この制度では2500万円まで基礎控除となります。

 
ただし単に贈与税の控除額がアップしただけの制度ではなく、相続を見据えた上で、相続としてお金を贈与する際、贈与税と相続税の二重取りを防ぐ目的でスタートしています。
 
・相続時精算税制度を利用したら、贈与税は相続税支払い時に清算される
・相続税の支払い時に贈与税は相殺される
 
相続税の計算時に、贈与税分も清算・相殺されますが、それも上回った額の相続・贈与がある場合はその分に税金が課せられます。

また一度相続時精算課税制度を申請すると、110万円ずつの暦年贈与には戻すことができない点も、注意しておきましょう。

配偶者控除

配偶者間での不動産贈与の場合、居住用不動産の贈与や購入資金の贈与であれば、2000万円まで非課税になるという制度で、【おしどり贈与】とも呼ばれています。
 

配偶者控除は暦年贈与と併せて最大2110万円まで非課税にすることができます。

 
ただし条件があるため、条件に合っているかどうかの確認をしておきましょう。
 
・同じ配偶者からの贈与は、妻からでも夫からでも1回に限る
・婚姻期間が20年以上ある
・贈与されたら翌年の3月15日までに贈与された住居に居住する
・申告をしなければ非課税にならない
・不動産取得税・登録免許税は贈与扱いで賦課される
 ※贈与の場合…不動産取得税が発生、登録免許税2%
 ※相続の場合…不動産取得税は発生せず、登録免許税0.4%
 
高齢になった夫婦のうちどちらかが亡くなっても、遺された1人がそのまま負担なく同じ家に住み続けることをサポートする控除と言えるでしょう。

教育資金の一括贈与

教育資金の一括贈与は、父母や祖父母など直系尊属から教育資金を一括で贈与された場合、1人あたり1500万円まで非課税になるという制度です。

 
たとえば学資保険などに入る場合がこれに相当するでしょう。現在は一般的な公立学校に通っても、大学卒業まで1000万円近くかかると言われています。

もしすべて私立で通す場合、学校にもよりますが2000万円を超えてくることもざらです。私立の医学部なら、6年間で1000万円がポンと消えてしまうこともあり得ます。

そういった高騰する学費のサポートのために、一括で教育費の贈与を受ける時に役立つ非課税特例です。
 
・贈与された教育資金は金融基金に教育資金口座を開設して管理
・金融機関経由で、所定の書類を税務署に提出
・学費以外の塾や習い事に払う費用は500万円まで
・お金を引き出し使った際は教育費の領収書を金融機関宛てに期限内に提出する

住宅取得資金等の贈与

住宅取得資金等の贈与は、住宅を取得するための資金贈与が、期限内に申告書を提出すれば、一定額まで非課税になるという制度です。

父母や祖父母など直系尊属から、直系卑属である子や孫などへの贈与と決まっており、子や孫も20歳以上になっている必要があります。

また贈与される側は年間所得2000万円以下で、住宅の床面積も50㎡以上240㎡以下、築年数や耐震基準なども細かく定められています。
 
住宅取得資金等の贈与特例の非課税限度額と契約締結日の期限(消費税率10%未満)

契約締結日 省エネ等住宅 その他の住宅
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円

 
住宅取得資金等の贈与特例の非課税限度額と契約締結日の期限(消費税率10%)

契約締結日 省エネ等住宅 その他の住宅
2016年1月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

 
こちらは現在2021年(令和3年)まで詳細が決まっていますが、期限の延長が決定しています。詳細が決まるのは今後なので、消費税率を見ながらチェックをしていきたいですね。

 

また期限内の申告書提出を忘れることが非常に多いので、その点に注意しましょう。

結婚・子育て資金の一括贈与

【結婚・子育て資金の一括贈与】は、20歳以上50歳未満の人が、両親や祖父母など直系尊属から受けられる贈与の特例です。
 

結婚や子育てに関する資金を、受け取る側1人あたり1000万円まで非課税で受けることが可能です。

 
このうち結婚のための資金としては300万円が上限になっています。その後お金がかかる教育資金も援助してもらえるため、子育て世代の夫婦には嬉しい制度ですね。

教育資金の一括贈与と似ていますが、教育資金贈与は教育を受ける子ども本人への贈与です。一方、子育て資金の一括贈与は、教育を受ける子どもを育てる親への贈与になります。

 

また金融機関経由で、所定の書類を税務署に提出する必要があります。

こちらも現在2019年(令和元年)3月まで詳細が決まっていますが、期限の延長が決定しています。詳細が決まるのは今後になるようです。

生活費の贈与

子どもが大学に入って1人暮らしを始める時などに、生活費を一括で通帳に入れて持たせる親御さんもいるのではないでしょうか。

一般的に、扶養している家族の生活費は、民法上では贈与対象ですが、税法によって贈与税の対象外と定められています。

 

そのため、1人暮らしを始めた我が子への仕送りも、家計を一にしている家族なので贈与には当たりません。

生活費を一括で、となると多額になりますが、一年分を一年ごとに使用し、生活費として使いきれなかった分のお金は一応贈与税対象になるとされています。

しかし翌年の生活費にまわしたり、学費を支払ったり、留学やフィールドワークの費用に充てたりと、学生生活にはなにかとお金がかかるものです。

よほどの大金でなければ税務署に見咎められることはありませんが、生活費としてもらった仕送りで株取引や仮想通貨に手を出すことはやめ、目的に合った使い方を心がけましょう。

不動産に関する生前からできる節税方法

次に不動産の相続に関することで、生前から準備しておける節税方法についてご紹介していきます。元気なうちに準備をしておくことで、後々の心配事を減らす事ができます。
 

小規模宅地等の特例

不動産相続に関して、非常に大きく関わってくるのが小規模宅地等の特例です。簡単に言えば、配偶者が故人の宅地を相続する際、80%の課税価格減額があるという特例です。

配偶者は同居していなくても、その家に今後居住しなくても、適用されます。また期限内に売却してしまう場合も適用可能です。

また、一定の基準を満たした親族であれば、適用されます。
 
・生前の故人と同居していた親族
・自分の持ち家がない親族(親族の配偶者所有も含む)
 
相続開始前3年以内に持ち家に住んでいると、この特例は適用されません。また宅地の規模は330㎡までと定められています。
※事業用…400㎡80%減
 貸付用…200㎡50%減
 
この特例は相続が実際に行われてから受けられるようになります。しかし、事前に相続人となる予定の配偶者や子ども達で話し合い、合意しておくと、相続時スムーズに手続きができます。

不動産購入

現金の財産が多額にある場合は、不動産を利用することで財産全体の課税額を下げることができます。
簡単にできる節税方法としては、不動産を購入するという方法です。現金は所有する現金全額から控除額を差し引いた分すべてに相続税がかかります。
しかも相続税は、相続する金額が高くなるほど税率も高くなるため、現金をたくさん所有していると、相続の際損をしてしまうことが多いのです。
しかし不動産に替え、土地を買ってそこに建物を建てることで、節税になります。土地に建物が建つと、固定資産税などが大幅に安くなります。
 
さらに建物は年々古くなるため減価償却で価値が下がってきます。実際に相続する時には、現金そのままで相続するよりも評価額が落ちていることになるのです。
また自分の配偶者と住んでいたり、持ち家のない子どもがいたりする場合は小規模宅地等の特例が適用されることも考えられます。

賃貸不動産購入

不動産を購入することは相続税の大きな節税になることはご紹介しましたが、もし建築した建物を賃貸用に使用するのであれば、さらに節税になります。
 
賃貸物件は、一度人に貸し出してしまうと簡単に売却することができません。一般的な土地の評価額よりも30%も評価が下がるうえ、相続人には賃貸料も入ってきます。
ただし賃貸物件の管理・運用にはある程度のリスクもあるため、不動産会社や税理士などと相談し、相続人ともよく話し合ったうえで選択しましょう。

不動産所有会社の設立

不動産がたくさんあるという場合は、相続税も莫大なものになる可能性があります。そこで不動産所有会社を設立して法人登録し、法人として相続させるという方法があります。

法人が役員報酬や給料で家族にお金を払い続けると、一般的な贈与とは異なり贈与税よりも税率の低い所得税や住民税の負担だけで済みます。
 
個人で不動産を所有しているのではなく、法人が所有している部分があると、それだけ個人の収入額が減り、相続後の将来的にも継続的な節税になります。
しかし相続の直前に不動産所有会社を設立し、法人として相続すると、当然ながら税務署に目を付けられやすくなります。
実際の会社として業務の実績があるか、親族だけに激安価格で不動産を貸し、税金対策をしていないかなどチェックの目が厳しくなります。その点で、より注意が必要です。

子どもを出資者にした不動産収入の分散

不動産を現在所有している人(オーナー)が不動産所有会社の出資者や社長になると、結局資産が分散されず節税になりません。

そのため、子どもを出資者にすることで、株式を分散することができ、最終的な相続税の節税につながります。しかも不動産所有会社で出た利益を、役員報酬などで子どもに還元することで、株式の評価価値を抑える効果もあります。
 
社長や代表取締役は、他役員よりも大きな報酬を受け取る場合は多いです。そのためオーナーが社長や代表取締役になってしまうと、やはり節税になりません。

相続人である子ども達とよく話し合い、誰がどういった役職につき、報酬が少なくなる子どもにはどういった財産で補填していくかなどを、オーナーが健康で意思表示がはっきりできるうちに話し合って決めましょう。
また給与を出すからには、勤務実態が明確になっていなければ税務調査で厳しく追及される点も要注意です。
 
また専門家に相談して慎重に行わないと、オーナー分散といって、複数の相続人で会社を共有しているという事態になってしまうこともあります。

その他できる節税方法

その他にも節税できる方法はいろいろあります。家族で話し合い、相続人も、財産を所有する本人も納得できる、もめない方法をいくつか組み合わせてみましょう。

養子縁組

相続では、実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合は1人まで、養子も実子と同じように相続権を得ることができます。

この場合の「養子」とは、普通養子縁組で養子になった人のことを指します。相続では法定相続人の数で控除額が決まるため、法定相続人が多いほど非課税額も増えます。

そのため相続のためだけに養子縁組をし、法定相続人をどんどん増やして控除額を無限にアップさせようと考える人が出てもおかしくはありません。

相続税逃れのためだけの養子縁組を阻止するために、相続上は養子の数が決められているのです。

特別養子縁組で実子と同じ扱いになっている子どもの場合は、このケースで養子にカウントされることはありません。実子としてカウントされます。

生命保険への加入

生命保険に加入し、受取人を相続させたい人物に指定しておくことで、相続税を気にせずにお金を渡すことができます。

高齢者の生命保険への加入は掛け金も大きくなり、健康上も難しくはなりますが、今はさまざまなダイレクト保険が存在するので不可能ではありません。

 

保険金請求の方が、遺産分割より現金化することができるため、非課税になること以外にもメリットがあります。

ただし生命保険の受取人を、財産所有者本人にしてしまうと、結局相続が発生します。受取人を、相続させたい人にしておくことが重要です。

貴金属や家具など動産の整理

家具などは、一度人手に渡って使用されると評価額が下がります。そのまま相続しても、あまり問題はありません。

問題は「子ども達が誰も引き取りたくないと言っている」場合です。今は親が他界した後のモノの処理が社会問題になっています。

引き取り手のない家具や美術品・骨董品などは、まとめて古物商や骨董商などに買い取ってもらうよう、生前に話を付けておくと良いのではないでしょうか。
 

 
貴金属で、非常に価値の高いものは別です。たとえば1億円のダイヤモンドなどは相続税の対象になり得ます。

「ダイヤモンドに名前なんか書いてないし、絶対バレないでしょ」と思われるかもしれませんが、1億円のダイヤを所有しているような資産家は、当然税務署の目も光っています。

そのため、一般家庭よりもはるかに厳しい監査が入りますし、出入りの百貨店や宝石商の購入履歴、売却履歴などもチェックされると言われています。

大変高価な貴金属を形見分けされた場合などは、相続税がかかるということをあらかじめ知っておきたいですね。

墓地や墓石・仏壇などの購入

墓地や墓石、仏壇などの祭祀関連物は、非課税で相続できます。そのため、生前から相続人達も参りやすい墓地を購入し、相続人の住まいにも置いてもらえるタイプの仏壇を買っておくと良いでしょう。

財産所有者の死後に、相続人が購入することになると、相続税を払った上で墓地・墓石・仏壇などを改めて自分の資産から買わなければなりません。

そのため、終活のひとつとして自分のお墓や仏壇を前もって買っておくと、相続税節税にもなり、他界後もすんなり法事等が進みます。

自分の意志と身体が健康なうちに、節税対策をどんどん進めよう

所有する財産の額に関わらず、それを相続する人々の間にはもめ事が起きやすいものです。相続税の問題は、誰にとっても他人事ではありません。
そこで自分自身の意志と身体が健康なうちに、家族とたくさん話し合いをして節税対策もどんどん進めていきましょう。
 
家族も今後相続する財産について、顔を合わせてたくさん話し合うことで、相続財産の分割や、節税について理解が進み、被相続人の家族に対する愛情もしっかり感じることができるでしょう。
 
節税のために始まった終活でも、最終的に家族と過ごす時間が増え、家族との絆がさらに強まれば、話し合いもうまくいくのではないでしょうか。